弟と私

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私と弟は、突然キレる父親への不信感を募らせていった、

『誰のお金で生活していると思っているんだ。』

この言葉は、子供に対する最強の脅迫だと思う。

確かに、一生懸命働いて、私たちを養うのは大変だったと思う。

本当に、心から感謝している。

でも、だからと言って、その「養ってやっている子供」に対して暴力を奮っていい訳ではない。

子供は親の所有物ではないのだ。

母親は、少し天然で優しい人だった。

ただ、父親には逆らえない人でもあった。

何があっても父親の言いなり。だから、助けてはもらえなかった。

家族のなかに、1度キレた父親の暴走を止められる人は誰も居なかったのだ。

私達兄弟は、それぞれ自分で身を守るしかなかった。

いちいち父親の理不尽な怒りにぶつかっていき、無駄に怒りを長引かせる気の強い姉と、じっと我慢して怒りが収まるまでおとなしく黙った暴力を受け続ける弟。

キレた父に対する私たち兄弟の対応は正反対だった。

その結果、両親から見た私達兄弟のイメージは、ずる賢く、自己中な姉と、優しく、人のいい弟というものとなって行った。

でも真実は、何にでもぶつかっていく不器用な姉と、面倒な事は聞き流す器用な弟。それが、本当の姿だったのだと思う。

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