その次の日も、担任に呼び出された私は、目を疑うことになる。
呼ばれた教室には、昨日、仕方なく名前を挙げた響子ちゃんがいたのだ。
「嫌がらせの犯人、私じゃないよ?」
そんなことは、わかっている。
私は、毎日、毎日、放課後、担任に呼び出されては、「犯人の名前を挙げろ」と、取り調べにも似た脅迫から早く逃れたいがために、最近あった自分的にちょっと気まずいと思っていた出来事を話しただけなのだ。
もちろん、響子ちゃんが犯人な可能性がゼロな訳ではなかったが、私にとって重要なのは、そんなことではないのだ。
「誰にも言わないから、些細な問題でも話して。」という、担任の言葉を信じ、犯人の候補者として挙げてしまった響子ちゃんの名前。
これで、響子ちゃんまで確実に敵になる事は目に見えていた。
そうやって、私に対するイジメは、偽善という名のもとに、学校ぐるみで拡大させていったのだ。
こうして、イジメの被害者は逃げ場を失い、追い込まれていくのだろう。
子どもながらに、そう確信する出来事だった。
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